夏のある日
ぼくはブラインド越しに
影を見つめていた。
陽炎のように揺らいではいるが
影は当然そうであるかのように映っていた。
その輪郭、その気配で
それが何かはわかっているのだが、
ぼくはそれを理解しようとはしなかった。
待てばそれだけ遠くなるような気もしたが
何故かぼくはそれをそっとしておきたかった。
突然崩れそうなその影を
ぼくはそっとしておきたかった。
以前見た数々の幻影をも
ぼくは想像していた。
それが何かを感じていながら
ぼくは解ろうとはしなかった。
それでいいんだと思う。
それが始まりだとも思う。
それは以前見て来たこだわりだとも思う。
いろいろな思惑の中にも
その影は映っていた。