吹く風

人生万事大丈夫

2021年02月

それは頭のすぐ上を飛んでいる、
だけどぼくの手はそこに届かない
それは小さく光る粒の隊列だ
だけどぼくの目は見失ってしまう
それは大きくもあり小さくもある、
だけどぼくの知能は理解できない 

未開な生物であるぼくは
それをどこまでも追いかけていく
そして坂道で追いつこうとした時
それは忽然と消えていった

目の細かい網戸の中に
映る画像をぼくらは
現実だと思っている
あの街もあの人も
この街もこの人も
みんなみんな
現実だと思っている
だけどちがうんだな
電気がないと
あの街もあの人も
この街もこの人も
やって来ないんだから

目が覚めて窓の外を見ると
嬉しくなるような日射しが
少し早い春を包んでいます

とってもいい一日なんだと
甲高い声を張り上げて
公園の鳥が朝を歌っています

普段はうるさい建設現場の
鉄骨を組んでいる音でさえ
今朝はなぜか心地よいのです

外は暖かいのか寒いのか
きっと暖かいに違いないけど
まだまだぼくは出たくないのです

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