吹く風

人生万事大丈夫

2016年11月

その人が何を求めているのか
充分すぎるほどわかっている。
だけどそれにこたえる人生を
歩もうなどと思ってはいない。
その時はいいかもしれなけど
あとが色々と面倒で嫌なんだ。

相手が自分の価値を押しつけ
ぼくを染めようとしてきても
噛み合わない話をしたりして
その人の欲求を反らしている。
相手のほとぼりが冷めるまで
会釈の人の枠に入れておこう。

頭の右上に長い鉄棒が見えている。
ぼくはそれをつかもうとしている。
鉄棒は常にそこに有るのではなく
何かの折に右上に降りてくるのだ。
だからぼくはその折を逃すまいと
常に右上に神経を集中させている。

さて右上の鉄棒をつかんだことで
ぼくの人生がどう変っていくのか
それはいい事なのか悪い事なのか
そのへんのことをぼくは知らない。
だけどそれが宿命のように思えて
必死に鉄棒をつかもうとするんだ。

40年前のこの時期のこと
浪人中だったぼくの生活は
昼夜が完全に逆転していて
昼間は布団の中に潜り込み
陽射しを受けて眠っていた。
目覚めは日が沈んでからで
しばらくボーッとしたあと
机の前に座ってみるのだが
受験勉強などやる気もなく
落込んだ詩に曲をつけたり
占いに幸せを求めたりして
夜が明けるのを待っていた。

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