吹く風

2016年07月

盛夏、早朝の公園で
無数のお父さんたちが
必死に自分を主張する

時折お母さんの声もする

このアルバムを聴くと当時の店の
大音量のBGMと派手な装飾物と
そこでレコード盤を買う昂ぶりと
下腹からくるモゾモゾ感と喜びと
針を落とす時の緊張感とプチ音と
一曲目が始まる前のパチパチ音と
レーベルに描かれた妙なマークと
レコードスプレーのにおいが甦る。

今更ながら思う。ぼくの体の
数メートル数十メートル上で
数メートル数十メートル下で
数メートル数十メートル左で
数メートル数十メートル右で
顔もよく知らない赤の他人が
ゴロゴロと寝ているのである。

まさかあの日あそこで彼女に会えるとは
思ってもいなかったもんだから、ぼくは
本当にびっくりして焦ってしまったんだ。
彼女に会ったら絶対にこの想いを告げて
思春期からの胸のつかえを取り除こうと
いつもいつもぼくは思っていたんだけど、
実際に会ったら気持が凍りついてしまい
何をどうしていいのかわからなくなって
なぜかトイレの案内板ばかり眺めていた。
きっと彼女は変な奴と思ったことだろう。
突然の現実に、現実を失った一日だった。

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