吹く風

人生万事大丈夫

2005年06月

今日もフォークリフトのことを書く。
そういうことなので、『ヒロミちゃんがやってきた』はお休みです。

今日は暇があればフォークリフトに乗っていた。
あまりやるとこの機械の癖がつくから、なるべくならやらないほうがいい、とある人から言われた。
が、せめて左手でのハンドル操作だけはちゃんとやっておかないと、肝心の試験の時に思わず右手で操作してしまうかもしれない。
ということで、そういう意見を振り切って、ぼくはフォークリフトの特訓をすることにした。

車の場合、ハンドルは目で切ると言われているが、フォークリフトも同じである。
つまり、見ている方向に進めばいいのである。
その際、手の仕事というのは、目の方向に進むように操作すればいいわけだ。
ただ違うことは、フォークリフトのハンドルは遊びがないということだ。
車の場合は、多少手がぶれても体制に影響はない。
ところが、フォークリフトの場合は、これが大きく影響する。
右手で操作する場合はそうでもなかったのだが、左手は力がないせいか、すぐにぶれてしまうのだ。
そのため、微妙に蛇行運転になってしまう。
しかも、左手に意識が集中するせいで、前のほうがおろそかになり、何度か壁にぶつかりそうになった。
元来が乗り物音痴だから、こういうのに弱いのだ。

しかし、何回かやっているうちに、だんだんコツをつかんできた。
ものは考えようで、やっているうちに、「何だ、ギターと同じじゃないか」と思うようになってきたのだ。
ギターで弾き語りする場合、左手でコードを押さえるのだが、初めての歌でも、歌に集中していくうちに、だんだん左手のことは忘れて行く。
が、ちゃんとコードは間違えずに押さえている。
そう思うと気が楽になってきた。
そのおかげで、ちゃんと蛇行せずに前に進むことが出来るようになった。

さて、あとはリフトである。
フォーク(つめ)の部分が、パレットに触れずにちゃんと入るかどうかである。
これだけで大きな減点になるので、今日は何度も繰り返した。
しかし、店のパレットは隙間が狭いのだ。
そのために、何度もパレットを削ってしまった。
ようやくすんなり入るようになっても、今度は出しが待っている。
これもパレットに触れるとだめなのだ。
これも何度も繰り返しやった。

何とか形になったところで、最初から一通りの運転をやってみた。
左手運転は何とか出来た。
ところがリフトのところで、ポカをやってしまった。
うまく目測がつかずに、パレットに乗った商品を突き刺してしまったのだ。
「あらららら…」
しかし、ものは考えようである。
「でも、まあいいや。これも仕事の一環なんだから」と思うことで、気が楽になった。

さあ、明日は本番である。

シリーズ『ヒロミちゃんがやってきた』はお休みです。

さて、今日はフォークリフトの実技講習があった。
昼からだったのだが、遅れてはいけないと思い、今日の午前中に予約していた歯医者はキャンセルした。

ぼくはこの講習の日が嫌で嫌でたまらなかった。
というのは、着慣れない作業着を着て、脚には脚絆を巻き、安全靴を履き、さらにヘルメットをかぶらなくてはならないからだ。
こういう装備をするのは、生まれて初めてのことなのだ。
どうも、そういう格好をしている自分がイメージできない。

いちおう、昨日安全靴に足をとおし、脚絆を巻いてはみたものの、何かピンとこない。
安全靴は借り物だから、どうも足にしっくりこない。
というより、少し小さいのだ。
そのため、指が締めつけられるように痛い。
が、安全靴はあくまでも靴である。
少し痛いのを我慢すれば何とかなるだろう。

一方の脚絆は、どうやって装着するのかさえわからない始末だ。
うちの店の人に聞いてみたのだが、全員が「そんなのしたことない」ということだった。
ネットで調べようかとも思ったが、そういうことを調べるのも面倒だ。
結局『その辺の人に聞くか』という考えにいたり、脚絆のことはそれ以上考えないことにした。

ぼくが一番悩んだのは、ヘルメットだった。
店で使っているヘルメットを借りていくことにしたのだが、あいにくヘルメットは一つしかない。
そのヘルメットは店長がよく使っているものだ。
昨日、ヘルメットを借りてかぶろうとした時、それまで思いもよらなかったことに気づいた。
それは、ちょうど頭が当たる部分に、店長の整髪料がべっとりと付いていたのだ。
触ってみると、ぬるっとする。
『こんなのかぶれんわい』と思ってはみたものの、ヘルメットはそれ一つしかない。
『しかたない、家に帰ってから洗おう』と思い、それを使うことにした。
しかし、床屋に行ったときもそうだが、整髪料の臭いというのは、洗ってもなかなか取れるものではない。
しかもぼくは整髪料をつけないので、結構長く臭いが残るのだ。
ということは、ぼくはしばらく店長の臭いと過ごさなければならない。
案の定だった。
家に帰って何度も何度も洗ったにもかかわらず、講習中はずっと店長の臭いがしていた。

さて、本題の講習の方だが、もう散々だった。
三度練習したのだが、最初の二度は脱輪してしまった。
コースの道幅が狭かったということもあるが、教官がいちいち文句を言うのだ。
「ほーら、脱輪したやろうが。おまえは失格ぞ」とか、「そんな運転したら落ちるぞ」とか、熱血漢先生は、容赦なく罵声を浴びせる。
それがプレッシャーになってしまったわけだ。

しかし、原因はそれだけではない。
店にあるフォークリフトと、試験用のフォークリフトは、ギアとサイドブレーキの位置が違うのだ。
店にあるヤツはどちらも左についている。
ところが、試験用は右についているのだ。
つまり、突然外車に乗せられたようなものだ。
しかも、これまでの練習ではずっと右手でハンドルを切っていたのだが、試験では左手でやらないと減点になるというのだ。

ということで、明日は左手ハンドルの猛特訓をしなければならない。
明後日が本番である。

ヒロミと嫁ブーは、11時からエステの無料体験に行くことになっていた。
8時半を過ぎてようやく嫁ブーが起きてきた。
しばらくヒロミの独演会を聞いていたのだが、腹が減ってしかたない。
そこで、11時まで少し時間があるので、ファミレスにモーニングでも食べに行こうということになった。

さっそく準備に取りかかったわけだが、その最中ぼくはその日のスケジュールを考えていた。
そういえば、前にヒロミと約束した場所がいくつかあった。
汐入の里』、『パン工房高須』、『貴黄卵生産直売農場』、『おとぎの杜(スーパー銭湯)』などである。
どこもうちから近いのだが、ここに書いているすべてをエステから帰って行くとなると、途中食事もしなければならないので、かなり遅くなる。
そこで、モーニングはやめて、先に『汐入の里』と『パン工房高須』に行くことにした。

そのどちらも、直接行くと10分ほどでついてしまうのだが、『汐入の里』を経由して、もしくは『パン工房高須』を経由して、もう一方の場所に行くとなると、ちょっと時間がかかる。
つまり、ちょっとしたドライブが出来るということだ。
その道は海水浴場に面した海岸線で、ぼくの好きなドライブコースの一つでもある。

二人の賛同を得て、さっそくぼくたちは車に乗り込んだ。
せっかくドライブするのだから、ラジオよりもCDを聞いた方が気分も出てくる。
ということで、ぼくは家から持ってきたCDをかけた。
当初は海岸線を走るのだからサザンでもと思ったのだが、それではあまりに普通すぎて面白くない。
そこで、天地真理や浅田美代子の歌の入ったCDを持ってきた。

ヒロミは歌にかけては通である。
そのCDに入っている曲はほとんど知っているようで、かかった曲すべてを口ずさんでいた。
これは知らないだろうと思ってかけた、谷口世津や西真澄の歌もちゃんと歌っていた。

そういえば以前、何かの歌番組にリリーズが出ていたことがある。
それを見ていたヒロミから、「『好きよキャプテン』歌うよ」というメールが届いた。
ぼくたちもその番組を見ていたのだが、リリーズが出てから10秒ほどしてのメールの到着だった。
ぼくと嫁ブーは顔を見合わせて、その反応の素早さに驚いたのだった。
そういうヒロミにとって、30年ほど前の歌ぐらい、屁でもないのだろう。

そういえば、その日の前日、ヒロミは差し歯が取れたそうである。
しかし、歯医者には行ってないと言っていた。
どうしたのかというと、瞬間接着剤でつけたのだという。
つける時には、差し歯をよく洗ってドライヤーで乾かす。
一方、土台になっている歯は、きれいに磨いた後に、ティッシュで水分を取り除く。
そうしないとつかないそうである。
ヒロミはそういったことを、身振り手振りを添えて説明していた。
ぼくが「そんなことしたら、よくないんやないんか?」と聞くと、ヒロミは「前もそうした後に歯医者に行ったんよ。そしたらねえ、先生に叱られた」と言っていた。

そういう話が終わった後、ヒロミは嫁ブーの美顔器を取り出して遊びだした。
ぼくはというと、一度はパソコンに向かったものの、疲れと久々のビールで眠たくなってしまい、そのままその部屋で横になった。

翌朝、ぼくは誰よりも早く起き、パソコンに向かった。
日記の構想がまとまらないまま、無為に時間をつぶしていた。
そういう時にヒロミが起きてきた。
ヒロミはぼくを見つけると言った。
「しんたさん、私が目を覚まして伸びをした時、手に当たるものがあったんよ。何かと思ってそれを手に取ってみたら、楳図かずお怖いマンガやん。何であんなところに楳図かずおがあるんかねえ。私、楳図かずおの怖いマンガ、そーとー(とても)好きなんよ」

ヒロミは、ぼくたち夫婦がそれで寝ると腰が痛くなるという理由で使わなくなった、ダブルベッドで寝ていた。
そういえば、ぼくは昨年、休みの日にそこで楳図かずおを読んだ記憶がある。
あまり行かない部屋なので、楳図かずおがそこにあるというのも忘れていたのだ。
それをヒロミが見つけてきたわけである。

「ねえ、他に楳図かずおの怖い本ないと?」
「いや、あったと思うけど」
ぼくはさっそく本棚を探してみた。
そこに2,3冊、楳図かずおはあった。
他にコンビニで買った怪談もののマンガを取り出して、ヒロミに手渡した。

その後ヒロミは、リビングで大人しくそれらの本を見ていた。
ところが、ぼくがトイレに行こうとして部屋を出てみると、ヒロミがいない。
おそらくベッドに戻って寝ているのだろうと思っていた。
トイレから戻って、ふとリビング横の和室に目をやると、大口を開けて寝ている嫁ブー横に寄り添うようにして、ヒロミが寝っ転がっていた。
「いつの間にここに来たんか?」
「だって、ボリが気持ちよさそうに寝とるんやもん」
そう言いながらもヒロミは、楳図かずおの怖いマンガを読んでいた。
結局、その日は外に出かけた時以外は、テレビを見ながら居眠りしながらも、ヒロミは楳図かずおの怖い本を読んでいたのだった。

嫁ブーの会社に着く頃、タイミングよく嫁ブーから仕事が終わったと連絡があった。
嫁ブーを乗せたあと、車を置きに帰ることにした。
居酒屋に行くためである。
ところが、家の駐車場に着いた時、時間はもう10時を回っていた。
「おい、居酒屋のオーダーストップは何時か?」
「普通の店は10時半やないと」
「10時半か。じゃあ、もう店に入れんのう」
「ああ、そうやねえ」
「どうしようか、腹減ったしのう…。あっ、おまえ『dug』に電話してみ。もしかしたら、今からでも食べさせてくれるかもしれん」
「あ、そうか。dugがあったねえ」
dugというのは、ぼくたちの行きつけの喫茶店で、地元では焼きカレーで有名なところである。(※dugに関しては、2001年2月4日の日記に書いているので、そちらをご参照下さい)

さっそく嫁ブーはdugに電話を入れた。
「もしもし、ゆきですが、今からいいですか?」
「焼きカレーでいいと?」
「それで充分です」
ということで、居酒屋での酒盛りは急遽中止になり、ぼくたちはそのまま車でdugに向かった。

dugでのヒロミは、いつもと違って大人しかった。
マスターとぼくたち夫婦の会話を、薄ら笑いを浮かべて聞いていただけだった。
マスターの前で何かおかしなことを言ってくれることを期待していたのだが、肩すかしを食らってしまった。

しかし、その日はそれで終わらなかった。
家に帰ってから、ヒロミはその本領を発揮したのだ。
dugでビールも飲めなかったぼくたちは、近くのコンビニに行ってビールを買い、家で酒盛りを始めた。

ヒロミはそこでずっとガンの話をしていた。
父親をガンで亡くしているので、自分もそうなるのではないかと心配しているようなのだ。
話の中で、ヒロミは二度ガン検診を受けたと言っていた。
一度は肺あたりが痛くなって、「これはガンかもしれない」と思い、医学書を買い込んだと言う。
それを見ていると、どうも自分がガンのように思えてきた。
そこで、医者に駆け込んで、こういう症状なので検査して欲しいと言った。
医者は笑って「ガンじゃないですよ」と言ったが、ヒロミは強く「検査してください」と頼み込んだ。
医者は渋々検査をしたという。
「検査の結果は、どうやったんか?」とぼくが聞くと、ヒロミはその結果が気に入らなかったのか、怒った顔をして「なーんともなかったけね」と言った。

もう一度は胃に違和感を感じ、「これはガンかもしれない」と思い、前に買った医学書を読んだ。
そして、また医者に行った。
その時も医者は笑って受け付けようとしなかった。
そこでヒロミは、医学書に書いていた症状を全部言って、無理矢理検査をさせたらしい。
しかし結果は、「なーんともなかったけね」である。

ぼくは車にヒロミを乗せると、さっそく嫁ブーの会社へと向かった。
一般道を通って行くことも考えたが、ヒロミ宅に到着したのが大幅に遅れたため、都市高速を利用することにした。

ところで、ぼくは、ヒロミを車に乗せるのは初めてである。
ヒロミ宅に行く途中で、『いくら10数年前に同じ職場で馬鹿をやっていた仲とはいえ、こういう隔離された場所で二人っきりになったら、お互いに躊躇して言葉も弾まないんじゃないか』などと心配していた。
が、そういう心配はまったく無用で、ぼくたちは相変わらず、普通に馬鹿やっているのだった。
それにしても、車の中のヒロミは、よくしゃべる。
いっしょに働いていた頃の話題から、町内会の話題まで、次から次に出てくるのだ。

さて、そのヒロミの一連の話に嫁ブーのことが出てきた。
前にも言ったが、ヒロミは嫁ブーのことを『ボリ』と呼んでいる。
「前に沖縄におったボリのお姉さんに、そーとー(かなり)良くしてもらったけね」
「そうか」
「そういえば、ボリのお兄さんの子がおったやろ?」
「おう」
「どうしよると?」
「去年、自衛隊に入ったぞ」
「ふーん。ねえ、ボリは二人兄弟よねえ?」
「えっ…?」

たった今、お姉さんとお兄さんの話が出てきたばかりである。
それだけでも三人兄弟じゃないか。
「違う。六人兄弟」
「えっ、6人もおると?」
「おう。男3人と女3人たい」
ヒロミは嫁ブーと高校から就職までずっといっしょで、実家に何度も遊びに行っているくせに、今さら何を言っているのだろう。
しかし、それこそが『愉快な隣人ヒロミ』のヒロミたる由縁である。

そういえば、その時に思い出したことがある。
先月ヒロミの家に行った時のことだが、ヒロミが嫁ブーに娘のビデオをダビングしてくれと頼んでいた。
嫁ブーが「じゃあ、テープ貸して」と言うと、ヒロミは「今ここにないけ、後で送るね」と言い、嫁ブーに住所を聞いていた。
今月に入って、ようやくそのテープが送られてきたのだが、その封筒を見て、ぼくたち夫婦は目が点になった。
住所は嫁ブーが教えたとおり、正しく書かれていた。
問題は宛名にあった。
苗字はちゃんと結婚後のものになっていた。
が、名前が違うのだ。
嫁ブーは『由紀』という名前なのに、宛名は『由記』となっていた。
それだけなら、「きっと字を間違ったんだろう」で片付けただろうが、ヒロミはそれで終わらないのだ。
なんと、その『由記』の下に、ご丁寧にも『子』を付けていたのだ。
つまり、宛名が『しろげ由記子』になっていたのだ。

「おい、おまえは高校まで『由記子』という名前やったんか?」
「違うよぅ」
「ということは、おまえとヒロミは、友だちじゃなかったんか?」
「友だちやったよ」
「じゃあ、何で友だちの名前を間違えるんか?」
「それは…。ああ、あの人、私のこと『ボリ』としか呼んだことがないけ、きっと下の名前まで知らんかったんやろう」
いや、きっとヒロミは、嫁ブーの旧姓も知らないだろう。
苗字はぼくと同じだから、ちゃんと書けたのだと思う。

嫁ブーが言うことにも一理ある。
ぼくも、昔から、ヒロミが嫁ブーのことを呼ぶ時は、「ボリ」以外の名前で呼んでいることを聞いたことがない。
だが、いくらニックネームで呼び慣れているとはいえ、普通の人なら名前もちゃんと覚えているだろう。
いったい、ヒロミは嫁ブーのことを、どうインプットしているのだろうか。
まあ、このへんが、いかにもヒロミらしいと言える。

昨日の日記の更新は遅れに遅れて、今日の夕方になってしまった。
その理由は、昨日の夜からヒロミがうちに遊びに来ていたためである。

昨日の夜は、仕事が終わってから、門司までヒロミを迎えに行ってき、その足で嫁ブーを迎えに行き、家にいったん戻ってから、居酒屋に行く予定にしていた。

ところが、最初からつまずいてしまった。
そのヒロミの家である。
先月行っているので、まだその付近のイメージが残っていたし、番地もしっかりと覚えていた。
そのため、地図などを確認せずに行った。
それが間違いだったのだ。

その付近には予定通りより早く、8時40分頃に着いた。
「ちょっと早く着きすぎたかなあ」と思いながら、ぼくは記憶をたどってヒロミの家まで行こうとした。
ところがである。
その場所がわからなくなっていた。
小学校の近くというのは覚えていたが、同じような道、同じような家がいくつもある。
点滅信号から入るのは知っていたが、そこには点滅信号がいくつもあるのだ。
しかも、その点滅信号から曲がって、何番目の道に家があるのかがわからない。
番地を確認してみたが、夜なのでそれがまったく見えない。
車を降りて一軒一軒当たる方法もあったが、道が狭い割に、車の行き来が多いところなので、車を停めるわけもいかない。
結局、同じところをグルグルグルグル回ることになってしまった。

たぶんこの辺だったと思うところは、一方通行になっていて進入が出来ない。
さらに、一方通行が故に、Uターンが出来ない。
そこで、いったん幹線まで戻って、もう一度記憶をたどりながら、行ってみた。
が、先ほどと同じ場所に出る。
こんなことを繰り返しているうちに、時間は9時20分になっていた。
携帯で地図を確認したものの、細かい道までは載っていない。

こういう時は、先方に電話して道を聞けばいいのだが、それをやるとカッコ悪い気がしたので、最後の手段に残していた。
が、こうなっては、カッコ悪いなどと言っている暇はない。
歩道に乗り上げて車を停め、そこからヒロミに電話した。
ぼくが電話すると、ヒロミは待ってましたというようにすぐに出た。
「しんたさん?」
「おう。今○○というところにおるんやけど、ここからどう行ったらいいんか?」
「えっ、道忘れたと?」
「覚えとるつもりやったんやけど、同じような道とか家があって、わからんようになった」
「すぐに電話すればよかったのに」
「‥‥」
「そこからずっと坂道を上って、点滅信号を左に曲がったらいいんよ」
「点滅信号はいくつもあるぞ。どの点滅信号で曲がったらいいんか?」
「2つ目」
「ああ、2つ目か。そこを左折してどう行ったらいいんか?」
「すぐに右に曲がる」
「左折してすぐに右折か」
「うん」
「わかった、すぐに行く」

そこからヒロミの家までは、1分もかからなかった。
そこは、先ほど何度も通った道だった。
「やっぱりこの道でよかったんか」と思っていると、ヒロミがやってきた。

前々から、仕事で履いている靴が、何ヶ所かほころんでいるのが気になっていた。
梅雨時期にこんな靴履いていたら、雨が降った時、水が染みてくるだろう。
そこで昨日、うちの店で売っている靴を買うことにした。
うちは専門店ではないので、ブランド品はあまり置いてないのだが、仕事履きになるような安い靴はけっこう揃っている。
安いとはいえデザインもそこそこいいものがある。
ぼくはいつも、その中でも比較的高値の靴を選んでいる。
安い靴だと長持ちしないのだ。
いくつかの候補を選び、履いてみた。
その中に一つだけ目を引く靴があった。
アメリカ製で、履いてみるとゆったりとしていい感じだった。
さっそくそれを買うことにした。

購入後、すぐに今まで履いていた靴を捨て、新しい靴に履き替えた。
いい感じの靴というのは、履いていて実に気持ちがいい。
しばらくその気持ちよさに酔いしれていた。
ところが、1時間経ち2時間経つうちに、だんだん靴が重く感じるようになった。
「おかしいなあ、さっきはこんなじゃなかったのに」
ひもの具合が悪いのかと思い、ひもを何度か調整してみた。
が、相変わらず靴が重い。
そのうち、だんだん足の甲が痛くなってきた。
すでにその頃には頭も痛くなっていた。
もう最悪の状態である。
頭はしかたないにしろ、せめて足だけは何とかしたい。
「古い靴に履き替えよう」
そう思ったぼくは、ゴミ捨て場に、先ほど捨てた古い靴を探しに行った。
ところが、もう遅かった。
すでにゴミは処理された後で、結局そのまま、足痛に耐えることになった。

さて、昨日さんざんな目にあったので、今日は家にあった靴を履いていった。
しかし、その靴も長いこと履いてないので、足になじまないのだ。
どこか窮屈さを感じる。
我慢していれば慣れるだろうとは思ったが、2日続けて足にとらわれるのもいやである。
そこで、「しかたない。もう1足買うか」ということになった。
幸い靴売場には、昨日捨てたものと同じ靴が売っていた。
古くなったので捨てたものの、履きやすさは最高だった。
迷うことなく、ぼくはその靴を買うことにした。

その後、ぼくは足の苦痛から解放された。
夕方、履き物の取引先の人がやってきた。
「昨日はさんざんな目にあったよ」
「どうしたんですか?」
「いやね…」と、ぼくは昨日のことをその人に話した。
「で、どれ選んだんですか?」
「これ」
「えっ、これを選んだんですか?」
「うん」
「これは、登山とかに履く靴じゃないですか」
「えーっ!そんなこと書いてないやん」
「書いてはいませんけど、裏見てください」
見てみると、靴の裏がスパイクのようになっている。

「重かったでしょ?」
「うん」
「ゆっくり歩くのならともかく、こういうのを仕事なんかで履いていると、頭が痛くなったりしますよ」
「頭が痛くなる?」
「ええ、腰から首にかけて負担がかかるんですよ」
「昨日、確かに頭痛がしたけど…」
「でしょう。これが原因ですよ」
「いや、昨日のはクーラー病やったけど」
「じゃあ、ダブルできたんですよ」

それで、昨日はいつまでたっても頭痛が治らなかったのか。
いつまでたっても治らないので、一時は、くも膜下出血にでもなったんじゃないか心配したほどだ。
ま、二日続けて靴を買うという、馬鹿なことをしたものの、頭痛の原因がわかって、ホッとした次第である。

【ただいま午前1時33分】
昼間から頭が痛い。
ズキズキ、ズキズキ痛むのだ。
何もしない時はどうと言うことはないのだが、首を振ったりすると、頭の中に虫歯があるようでとても痛い。
理由はわかっている。
クーラー病である。

今日は朝から、会社のエアコンの温度が少し低めに設定してあったのだ。
最初はそれほどでもなかったが、時間が経つにつれ腕などが冷えてきた。
「こりゃいかん」
毎年のことなので、腕が冷えるとどうなるかということは、熟知している。
つまり、その時点で、昼からの頭痛を予想していた、ということである。

案の定、昼頃から頭に違和感を感じ、それがだんだん痛みに変わってきた。
こういう時の対策として、ぼくは外に出て日に当たることが多い。
体が冷えているなら、温めれてやれ、ということだ。
ほとんどの場合はこれで治る。
ところが、今日はあいにくの曇り空で、日は照ってなかった。
そのため冷えは、いつまでたっても取れない。
しかたなく店内に戻ると、また体が冷える。
そういったことを繰り返していくうちに、本格的に痛くなってきた。

いったん痛みが定着すると、もうだめである。
家に帰って酒を飲むか、風呂に入るか、もしくは寝るかしないと治らない。
ところが、今日の痛みはしつこくて、すでに酒は飲んだのだが、痛みは去ろうとはしない。
かといって、この日記が終わるまで、風呂も入らなければ、寝ることもしない。
ということで、ただいま午前1時33分、まだ頭痛と闘い続けている。


【ただいま午前6時58分】
いつまでも頭痛が治らないので、日記を途中でやめ、寝ることにした。
横になって以降の記憶がないから、きっとすぐに眠ったのだろう。
途中、一度トイレで目が覚めたが、その時もまだ頭は痛かった。
が、起きている時ほどではなかった。
目が覚めたのは、6時半だった。
起きてからすぐに首を上下左右に、恐る恐る動かしてみると、すでに頭痛は治っていた。

これから暑くなるにつれ、こういったクーラー病に陥る機会が増えてくる。
我が家は6階で窓を開ければ涼しいので、エアコンを入れることはほとんどない。
問題は会社である。
エアコンがだめだという個人的な理由で、そのスイッチを消すわけにはいかない。
かといって、厚着をするわけにもいかない。
なぜなら、まったくエアコンの効いてない、というより外より暑い倉庫に行くことが多いからだ。
その都度、脱いだり着たりするのも面倒だし…。
何かいい方法を考えなきゃならん。

【1】
午前中に歯医者に行った後、なぜかやる気が失せてしまって、今日予定したことを何もしなかった。
予定していたことというのは、会社に行ってフォークリフトの練習をすることと、銀行に行くことと、楽器屋回りである。
昨日の日記にも書いたが、次の休みにはヒロミが遊びに来るので、そういうことが一切出来ない。
その次の休みの日はフォークリフトの講習があるし、そのまた次の休みの日はフォークリフトの実技試験である。
まあ、講習や試験の日にフォークリフトの練習はしなくていい。
また楽器屋は急いで行く必要もない。

問題は銀行である。
4つの銀行を回らなくてはならないのだ。
繁華街に出さえすれば、短時間ですべての銀行を回ることが出来るのだが、その短時間がとれない。
しかたない。
急ぐ銀行だけでも、インターネットバンキングを利用するか。
若干の手数料を取られるが、繁華街に出たら駐車料金を取られるし、つい無駄な出費をしてしまうから、案外この方が安くあがるのかもしれない。

【2】
現在ぼくは、3つの銀行でインターネットバンキングの登録をしている。
しかし、利用したことがあるのは、給与振込先にしているメインバンク1行だけである。
他は何かの折に利用しようと思って登録したのだが、いまだその「何かの折」がない。
ぼくはお金をやりくりする才能を持ち合わせてないので、今後も「何かの折」というのはないだろう。
きっとぼくは、メインバンクだけで事足りる人間なのだろう。
そのくせ、多くの銀行の口座を作りたがる。
その点はブログといっしょで、ここでも、確固とした信念を持ち合わせてない人間というのが露わになる。

【3】
そのブログだが、そろそろ一つにまとめたいと思っている。
だいたい、あまり人も来ないのに、欲張ってたくさん持っているのが間違いなのだ。
この間5つのブログをやめたのだが、現在日記をつけているブログは、それでも4つある。
それらのブログがすべて盛況なわけではない。
メインのブログと携帯用に使っているブログは、そこそこ来てくれているのだが、他の2つはさっぱりである。
あるところなんかは日に数人しかこない。
かく言うぼくも、そこは更新するだけで、見てはいない。
まあ、そこは常連さんが来るという理由から残しておいたのだが、そろそろ限界が来ている。

何が限界なのかというと、更新である。
最近は朝更新することが多くなったが、出勤前に4つも更新するために、何度か遅刻しそうになったことがある。
他のブログは、携帯から更新だけではなく編集も出来たりするから、別にパソコンでなくても、会社に行ってから携帯ですればいい。
だが、そこはそれが出来ないときている。
人は来ない、不便だ、ということになると、もうやめるしかない。

ただ、気がかりなことはある。
数人ではあるが、毎日来てくれている人たちのことである。
おそらくそこが見やすいから来てくれているのだと思うが、それをいきなり「やめました」では、納得してくれないだろう。
そこで、とりあえず7月までは何とか続けて、それ以降は更新日記、つまり「日記を更新しました」というお知らせブログに使おうと考えている。

いや、ぼくが基本通りにその日の日記をその日に書けば、こういうことをせずにすむのだが、何せ生まれつきの怠け者だから、致し方ないところではある。
exblogに足を運んでくれている皆様、誠に申し訳ありませんが、8月からはそうさせていただきますので、よろしくお願い致します。

さて、明日も歯医者に行かなければならない。
先日、先生が「樹脂でかぶしているところが変色しているので、金属のものと替えましょう」ということで、型を取った。
明日は、それが出来上がっているので、それを付けて終わりである。
しかし、それでも歯医者通いは終わらない。
先月の26日に書いた歯が、まだ治ってないのだ。

その日記を読んだ知人が「しんたさん、もしかしてその歯は根本まで掘ってるんじゃないですか?」と言ってきた。
「そうやけど」
「じゃあ、長引きますよ」
「えっ、そうなん」
「ええ、歯が痛くなったり、歯茎が腫れたりを繰り返すんですよ」
「じゃあ、まだ痛みは続くと」
「と思いますよ。ある程度時間がたってから痛みは治まるんですが、それでも歯ブラシが当たったりすると響くんですよ」
「ああ、それはあるねえ」
「で、そういうのがなくなっても、さらに安定するまで様子を見るんです。それから銀冠をかぶせるための処置をする」
「そこまで、どのくらい時間がかかるんかねえ?」
「だいたい1ヶ月ですけど、長い人で2ヶ月かかる人もいます」
「最低1ヶ月か…」

知人の言うとおりだった。
あの日記を書いてから数日後に、いったん痛みは治まった。
が、歯茎が腫れてしまった。
しばらく腫れは引かなかった。
それが治まった頃、また痛みがぶり返す。
ようやく、そういうことから解放されたと思っていたら、今度は歯ブラシが触れると、痛くはないのだが響くようになった。

その間の治療といえば、薬を替えるぐらいなものだ。
時間にして10分程度で終わる。
それだけの治療の日が2,3度あった。
そこで先生も悪いと思ったのか、先日、治療できそうな歯を探し出し、そこを治療したのだ。
しかし、その歯の治療も明日終わる。
歯ブラシで響く状態が続いているので、それが治まるまで、また10分治療が続くのだろう。

次の休みは、ヒロミが遊びに来ることになっている。
来週の休みは、フォークリフトの講習と試験でつぶれる。
そのため歯医者には行けない。
ということで、5月終了を予定していた歯の治療は、2ヶ月延びることが決定的になってしまった。
もう、いいかげん飽きてきた。

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