2001月3月16日の日記です。
 今日何気なくテレビを見ていたら、介護の番組をやっていた。(教育テレビだった)
 父親が娘の介護を受ける設定のショートドラマで、「困った、こんなときどうすればいい」という時に、先生のワンポイントレッスンが入る。という5分程度の番組だった。

 内容はともかく、その父親役を見て、ぼくは目を疑った。なんと、石立鉄男がやっているのだ。最近見ないと思っていたらこんな役をしていたのか・・。

 石立鉄男といえば、「パパと呼ばないで」や「雑居時代」で一世を風靡した俳優である。
 中でも雑居時代は、ぼくらの憧れだった。
「大原麗子みたいな女姓とあんな恋をしてみたい」と高校の頃友人とよく話していたものだった。
 主人公のフーテンジャック(石立の役名「大場十一」のニックネーム)の生き方にも憧れたものである。

 それが、なんと寝たきり老人とは・・。
 フーテンジャックが何やっているんだ! あんたにはそんな役は似合わん!


2002年3月16日の日記です。
 今日は朝から天気が良く、前方に見える山には雲ひとつかかってなかった。
「いい天気だ」
 と思いながら目を下におろし、家の前にある幼稚園を見た。
「あれ?」
 ぼくは慌てて携帯電話で日にちを確認した。紛れもなく本日は3月16日である。
「さて、今日は何の日だったろうか?」
 いつもと違う風景が、目の前にあったのだ。

 いつもと違う風景、それは幼稚園の掲揚台にあった。日の丸がはためいていたのだ。
「祭日だったかなあ? しかし、春分の日はまだ先だし」
 ぼくはもう一度日にちを確認した。
『2002年3月16日土曜日』
 新聞にもそう書いてある。

「3月16日、3月16日、・・・?」
 と口の中で何度か繰り返した。
「・・・そうか!」
 はたと気がついた。
「今日は『きみにあえてうれしいの日』だ」
 家の前の幼稚園は、卒園式の後のお別れの時に、いつも『きみにあえてうれしい』をかけている。だから、ぼくはこの日を『きみにあえてうれしいの日』と呼んでいるのだ。
「それで日の丸か」
 と一人で納得したのだった。